フック
Claude Projectsに3事業のナレッジを全部食わせたら、判断が揃った。
「もう1人の自分」が、隣のデスクに座ってくれた感覚に近い。
結論3箇条
ナレッジを食わせて起きた変化は、3つだ。
- 過去の判断と矛盾しなくなった
- 指示が短くても文脈が通じるようになった
- 新しい事業判断のたたき台が3分で出る
これはプロンプトの話ではなく、運用設計の話だ。
この記事を書く理由
Claude Projectsを使い始めた人の多くが、最初の1週間で離脱する。
「思ったより便利じゃない」「結局その都度コピペしてる」と言って。
理由はシンプルで、ナレッジを食わせていないからだ。
僕は2ヶ月かけて、3事業のナレッジをProjectsに全部移した。
判断のスピードと一貫性が、明確に変わった。
「Projectsって何が便利なの」と聞かれた時の答えとして、実装手順ごと残しておく。
本文ストーリー
食わせる前と後の判断の質
まず、変化が一番分かるエピソードから書く。
ある日、A事業の新サービス価格を決める相談をAIに投げた。
食わせる前:
– 「相場感だと月3万〜5万円が一般的です」
– 「機能を増やす場合は月7万円も可能です」
– 一般論の羅列で終わる
食わせた後:
– 「A事業の既存顧客の平均単価が¥48,000、解約率3.2%なので、新サービスは¥58,000〜¥68,000が妥当」
– 「過去のキャンペーン履歴から、¥58,000で先着10名なら2週間で埋まる確率が高い」
– 「B事業のリストを使うなら¥68,000でも初動が立つ」
固有名詞と数字で語ってくれる。
コピペで毎回投げていたときには絶対に出てこなかった精度だ。
何を食わせたか(合計47ファイル)
3事業合計で、Projectsに置いたナレッジは47ファイル。
A事業(コンサル系)
– 過去2年の売上明細(CSV)
– クライアント別の対応履歴(Markdown)
– 提案書テンプレート3種
– 価格表と過去キャンペーン履歴
– 解約理由のヒアリングログ
B事業(コンテンツ系)
– 公開済み記事の一覧と各記事のKPI
– ペルソナ定義書(3パターン)
– 編集ガイドライン
– バズった投稿のフォーマット集
C事業(プロダクト系)
– ユーザーインタビュー全文ログ
– ロードマップとリリースノート
– 競合分析メモ
共通
– 自分のビジネス哲学(マニフェスト)
– 過去の意思決定ログ(撤退含む)
– お金の使い方ルール
ポイントは「成功事例だけでなく、失敗と撤退も全部入れる」ことだ。
失敗が入っていないAIは、過去と同じ失敗を提案してくる。
Projectsの「カスタムインストラクション」設計
ナレッジを食わせるだけでは足りない。
カスタムインストラクションで、応答ルールを縛る必要がある。
僕が書いている指示の一部:
あなたは私の「経営パートナー」として振る舞ってください。
原則:
- 提案は必ず数字(売上・時間・コスト)で語ること
- 一般論で答えそうになったら、必ずProjects内のファイルを参照する
- 不明点は「確認すべき1つの数字」として返す
- 過去の意思決定ログと矛盾する提案は、必ず矛盾点を明示する
- 私のビジネス哲学(焦らない・焼畑しない・伴走優先)を破る提案はしない
このルールを置いた瞬間、「もう1人の自分」感が一気に出た。
プロンプトの巧さではなく、規則の設計だ。
食わせる手順(時間とツール)
実装は地味だが、淡々とやれば2週間で終わる。
Day 1〜3:素材の棚卸し
3事業の資料を全部Notionから引き上げ、Markdown化する。
ChatGPTに「このNotionページをMarkdownに整理して」と渡せば9割自動化できる。
Day 4〜7:ノイズの除去
個人名・契約金額の固有値・センシティブな会話ログを匿名化する。
Projectsにアップする前の最重要工程。
Day 8〜10:構造化
ファイルを「事業別」「テンプレ別」「履歴別」に分類し、ファイル名を統一する。
AIが参照しやすい命名にする(例:A_pricing_2024-2026.md)。
Day 11〜14:カスタムインストラクション設計&テスト
質問を10個用意して、想定通りに動くかテスト。
動かない部分は、ナレッジ追加かインストラクション修正で対応。
合計32時間。
これで「もう1人の自分」が完成する。
起きた変化(運用2ヶ月後)
数字でも、体感でも、変化が出ている。
- A事業の新規提案にかかる時間が4時間→1時間
- 月次レポートの執筆時間が6時間→2時間
- 「相談相手がいない」というソロ起業家の孤独感がほぼ消えた
- 過去の判断と矛盾するアイデアを出さなくなった
- 思いつきの新事業を「過去の数字と合わない」と止められる
特に最後の効果が大きい。
自分の暴走を止めてくれる装置として機能している。
データ:Projects運用前後の数字
| 項目 | 運用前 | 運用後 | 差分 |
|---|---|---|---|
| 提案資料作成時間(A事業) | 4h | 1h | -75% |
| 月次レポート執筆時間 | 6h | 2h | -67% |
| 「過去と矛盾」した判断件数(月) | 3件 | 0件 | – |
| 質問→回答の往復回数 | 平均7回 | 平均2回 | -71% |
| Projectsに置いたファイル数 | 0 | 47 | – |
| カスタムインストラクション文字数 | 0 | 1,840文字 | – |
「コピペでいいじゃん」と思っていた時期が一番非効率だった。
今日からできるチェックリスト
- [ ] Projectsを1つ作る(最初は1事業分でいい)
- [ ] 過去1年の売上明細・顧客リストをCSVでアップする
- [ ] 提案書・テンプレートを最低5ファイル入れる
- [ ] 失敗・撤退の記録も必ず入れる
- [ ] カスタムインストラクションに「数字で語れ」「矛盾を指摘しろ」を必ず書く
最初の1事業で効果を体感してから、2事業目に広げるのが安全だ。
まとめ&CTA
Claude Projectsの本当の価値は、プロンプトの巧さを不要にすることだ。
ナレッジを食わせ、ルールを書き、応答を縛る。
これだけで、AIは「もう1人の自分」になる。
3事業のうち、どれが今月伸びるべきか。
これをAIに判断させて、当てた月は、もう自分の脳だけで考えていた頃には戻れない。
このブログでは、Projectsで動かしている運用を、テンプレ・ファイル例・インストラクションの全文込みで、順次公開していく。




