フック
1時間の商談 → 議事録 → 提案書下書き、全部AIで自動化した。
人間が触るのは「商談する」と「最終チェック」の2点だけ。週8時間が浮いた。
結論3箇条
このフローで効いた、3つの設計ポイント。
- 録音→文字起こし→構造化→提案生成、を1パイプにする
- クライアント別の「過去履歴コンテキスト」を必ず読み込ませる
- 最後の人間チェックは「数字と固有名詞」だけに絞る
派手なツールは1つも使っていない。運用設計だけで動く。
この記事を書く理由
ソロ起業家の最大のボトルネックは、商談後の事務作業だ。
議事録、提案書、見積もり、フォローメール。
これらを一つひとつ手作業でやると、商談1件あたり3〜5時間が消える。
僕の場合、月の商談件数は約12件。
事務作業だけで月50時間が吹き飛んでいた。
ここを完全に自動化したことで、月に40時間以上が浮いた。
具体的なツール・プロンプト・落とし穴を、全部公開する。
本文ストーリー
フローの全体像
僕が組んでいるパイプラインは、4ステップだ。
[商談録音] → [文字起こし] → [議事録生成] → [提案書下書き生成]
↓ ↓ ↓ ↓
Krisp Whisper Claude Claude Projects
Projects
人間が触るのは:
– 商談すること自体(1時間)
– 最終チェック(提案書20分)
合計1時間20分。
これだけで、これまで5時間かかっていた仕事が完了する。
ステップ1:録音
商談はオンライン(Zoom/Google Meet)で実施。
録音にはKrispを使う(月額$12)。
Krispを選んだ理由:
– 録音の音質が他ツールより明確に高い
– ノイズリダクションが標準搭載
– ローカル保存もクラウド保存もできる
録音は商談開始と同時にワンクリックで開始。
終わると自動でクラウドにアップされる。
ステップ2:文字起こし
Krispの録音を、OpenAI Whisper APIに投げる。
僕は自作の小さなPythonスクリプトを使っているが、市販ツールでも代替可能(Notta、Vrew等)。
1時間の音声で、約3〜5分で文字起こしが完了。
精度は98%以上で、日本語の専門用語もほぼ正確に拾う。
文字起こし結果は、Markdown形式でローカルに保存。
ファイル名は{日付}_{クライアント名}_meeting.mdで統一する。
ステップ3:議事録生成
ここからがClaude Projectsの出番だ。
Projectsには、以下のナレッジを置いている:
– A事業の全クライアント履歴
– 過去の商談議事録テンプレート
– 各クライアントの担当者プロフィール
– 自社サービスの料金表・契約条件
カスタムインストラクションは、こう書いている。
あなたは私の商談議事録作成役です。
入力:商談の文字起こし
出力:以下の構造の議事録Markdown
# 議事録:{クライアント名} {日付}
## 結論
- 次のアクション3つ
- 期限と担当者
## クライアント側のニーズ(具体的な発言を引用)
- ニーズ1
- ニーズ2
## クライアント側の懸念(具体的な発言を引用)
- 懸念1
- 懸念2
## こちらが提案した内容
- 提案1
- 提案2
## 次回までのToDo
- 私側:
- クライアント側:
## 次回MTG
- 日時案
ルール:
- 文字起こしの「えー」「あの」は除去
- 数字や固有名詞は文字起こし通りに正確に書く
- 推測で補完しない(不明な点は「要確認」と明示)
これに文字起こしを投げると、1分で議事録が完成する。
人間がやると30〜60分かかる作業だ。
ステップ4:提案書下書き生成
議事録ができたら、もう1つのカスタムインストラクションで提案書下書きを生成する。
あなたは私の提案書ドラフター役です。
入力:今回の議事録 + クライアントの過去履歴
出力:提案書のMarkdownドラフト
構造:
1. 表紙:クライアント名/日付/タイトル
2. 課題の整理(議事録のニーズと懸念から抽出)
3. 解決アプローチ(3案を提示)
4. 期間とマイルストーン
5. 費用見積もり(料金表から該当プランを引用)
6. 次のステップ
ルール:
- クライアントの過去履歴と矛盾する提案はしない
- 費用は必ずProjects内の料金表を参照する
- 「相場」「一般的」などの一般論は使わない
- 数字は固有値(クライアントの売上、業界、規模)を使う
これで、議事録から約3分で提案書ドラフトが完成する。
クライアントの過去履歴を踏まえた内容になるので、「コピペ感」が出ない。
人間が必ずチェックする2点
完全自動化に見えるが、最後の20分は必ず人間がチェックする。
チェックする観点は2つだけ。
チェック1:数字の正確さ
– 提案金額が間違っていないか
– 期間や回数が正しいか
– クライアント側が言った数字(売上、人数、規模)が反映されているか
数字が間違っていると、信頼を一発で失う。
ここはAIに完全委任しない。
チェック2:固有名詞・関係性
– クライアントの担当者名、役職、所属が正しいか
– 過去のやり取りに矛盾がないか
– トーンが「初対面」と「既存顧客」で適切に切り替わっているか
特に2番目(既存顧客のトーン)は、AIが過剰に丁寧になりがちだ。
「いつもの感じ」にトーンダウンする調整は、人間がやる。
1ヶ月運用してわかった効果
このフローを1ヶ月運用した結果、数字で出た効果はこうだ。
- 月の事務作業時間:約50h → 約12h(-76%)
- 提案書作成のリードタイム:商談後3〜5日 → 商談後1日(-70%)
- 提案書の質(クライアント評価):体感で向上
- 商談から契約までの平均日数:12日 → 6日(-50%)
特に最後の「商談→契約」のリードタイム短縮が大きい。
スピードそのものが、契約率に直結することを再確認した。
落とし穴:完全自動化を目指さないこと
最後に、注意点を1つ。
このフローを「100%自動化」にしないことが重要だ。
僕は最初、人間チェックも飛ばしてAIに完全委任した時期があった。
3週間で、数字ミスが原因のクレームが2件発生した。
数字と関係性は、AIが完全には捉えきれない。
ここを人間が握っていれば、20分のチェックで事故が防げる。
「自動化」と「自走化」は別物だ。
自走するシステムには、必ず人間の安全弁が要る。
データ:自動化前後の比較
| 項目 | 自動化前 | 自動化後 | 差分 |
|---|---|---|---|
| 1商談あたりの事務作業時間 | 4〜5h | 1〜1.5h | -70% |
| 月の事務作業時間 | 約50h | 約12h | -76% |
| 提案書のリードタイム | 3〜5日 | 1日 | -70% |
| 商談→契約の平均日数 | 12日 | 6日 | -50% |
| 月のツール費(増分) | – | $32 | +$32 |
ツール費の月$32で、月40時間が浮く。
時間単価が¥10,000なら、月¥40万円分のリターンだ。
今日からできるチェックリスト
- [ ] 商談録音ツールを契約する(Krisp推奨、月$12)
- [ ] Whisperで文字起こしする環境を作る
- [ ] Claude Projectsに「議事録ドラフター」「提案書ドラフター」を作る
- [ ] 過去のクライアント履歴・料金表をProjectsに食わせる
- [ ] 最初の1件で運用テスト、人間チェック20分の習慣を組み込む
セットアップに半日。週8時間が浮く。
まとめ&CTA
商談から提案書まで、人間が触るのは1時間20分だけ。
残りはAIが回す。
ソロ起業家にとって、事務作業は最大のコストだ。
ここを潰すだけで、判断と仕込みに使える時間が倍以上になる。
このブログでは、AIによる業務自動化のフローを、プロンプト全文・ツール・運用ルール込みで、引き続き公開していく。




